釘TOねこにゃん〜暴走編〜災厄の釘




僕、荒屋道呈は重大な選択を迫られていた。
自らの目の前にある神々しき物体、輝きを伴うその物体に僕は手を伸ばすべきか、否か・・・。
神様・・これは試練なのでしょうか!?


『エロエロ情報誌★ 処女わーるど!!』


ここは犬猫町の本屋、目の前にあるのはエロ本だ。
19歳にて童貞、高校のころに彼女は二人いたものの例の本番を迎えぬまま終了、
さらに謎の喋る猫に風俗に連れて行かれてとうとう男になれるとおもいきやオチは手のツボマッサージだったこと・・・
そんな僕には一人で本等によって自分自身を慰めるのが常となるのは言わずもがなだ。
僕を魅了するこの雑誌、特集に『超セクシー★MARIMOの全て』
とあるのだ!
MARIMO・・今一番僕がはまって止まないグラビアアイドル・・・処女を貫き通しているのがまた最高・・・。
あ、い、いや、けけけ決して僕は処女趣味ってわけでは〜!!
・・・うっ・・・・周囲の視線が気になる・・・・。
こんな言い訳を脳内で考えてしまったために、やたら周囲が気になって仕方ない。

「あの人、、処女趣味なんだってえ。」

「誠実そうなのに・・・処女趣味だものねえ・・。」

周囲の人に嘲笑される僕の姿・・・。
ああ!!どんどん膨れ上がる妄想!!!
こ、これは買うのに勇気があああ!!!
しかし、僕はある重要なことを思い出した。
そうだ!!今日は確か財布を家に忘れてしまって本が買えないんだ!!あ、それではこの雑誌も買えないなあ♪
ありがとう神様!!僕は本を手にしなかったよ!!
だってお金がないんだったらしょうがないよね!!
そう、また次の機会にでもーーーーーー!!!!
・・・こんなうかれポンチムードな僕、後ほど起こる悲劇を何一つ知らない・・。



@@@@@
『僕達の愛する犬猫町のエロ本が謎のネギ臭を放つようになって、誰も買えなくなってしまった!
世の中の青少年の夢を壊そうとする、史上最低の悪・・僕達は決して許さない!
次回、正義戦隊ねこにゃん《ねこにゃんのライバル現れる!?》』

・・・・。

「あ〜、おもしろかった♪次回もすごくおもしろそ〜う!」

僕が家に帰り着いたとき、弟の兇坊がテレビを見ながら一人興奮していた。
ヒーロー番組で世代を超えて人気がある『正義戦隊ねこにゃん』、弟はその大ファンだ、12歳で。
まあ世代を超えた人気のある番組だ、弟の友人も皆見ているのだろう。
そして弟は僕が帰ってきたのが気づいたのか、後ろを振り返ってにっこりと

「おかえり、道呈。で、ねこにゃんファンブックはあ?」

「うげはっ!!!」

僕はつい人語ではない声をあげてしまった。そう、僕は本屋に弟の望む本を買いにいったのだ。
しかし財布を忘れたために結局買わずに戻ってきたわけだ・・。
まあ僕のかわいい弟だ、謝れば許してくれるだろう・・。

「ごめん!!財布を家に忘れて買えなかったんだ・・・。」

ペコリと弟相手におじぎする僕、ゆっくりと顔をあげて弟の顔を見る。

「え、忘れたの・・・?   まあいいか、お姉ちゃんに買ってもらうよ。」

「あ、そうか。アハハ・・・・・。」

アハハ、ホラ、許してくれた・・・。
でもね・・僕は一瞬見てしまったんだよ、弟よ・・。
まるでとても汚いものを見るかのような目を僕に対してしていた事を・・・。
明らかに弟は怒っているだろう、どう復讐されるかわかったものではない。無駄にニコニコし始めている弟がとても怖い・・。

「ただいま〜♪兇ちゃん、ケーキ買ってきたよ〜ん♪」

この僕の危機的(?)状況をかき乱してくれそうな存在が一人現れる。
僕の姉、諸田子だ。
無駄にクルクル回りながら弟の目の前のテーブルにおみやげのケーキをそっと置く、本当に無駄に軽やかな動きだ!!

「わあ、ありがとうお姉ちゃん!!」

弟はすぐにケーキの箱を開ける、そこには真っ白なショートケーキが・・上にのっけてあるイチゴがまた旨そう・・。

「って僕にはないの?姉貴。」

「あんたはもう19歳でしょ、それぐらい自分で買えっつうのよ。」

僕に対しては態度激変。この姉、だいぶ兇坊を寵愛する傾向があり、たまにやりすぎな一面もある。
まあ僕は別に姉が自分にケーキを買ってくれるなど期待はしてなかったけど・・。

「そうだ、お姉ちゃん!聞きたい事があるんだあ!!」

頬いっぱいにケーキを詰め込んでるはずなのに、普通に喋っている弟。そんな弟にときめいたのか、姉は目をキラキラとさせ始める。

「ど、どんどん聞いちゃって!!お姉ちゃん、何でも答えてあげるよ!!」

僕は「哀れだ、姉貴・・」としか思えない。この兇坊は以前にも姉に質問をしていたけど、

「林檎ってどうして林檎なの?」

と謎質問をだされたがために、すっかり困り

「林檎は時と場所に応じてそのあり方を決めなきゃいけないのよ!?
だ、だから庭にある林檎だったら『庭に置くと風流がある、だから林檎』と、とかあなるのよお!?」

とメチャクチャな答えをはじきだす始末だ。
現在彼女はそんな記憶を思い出す思考回路が興奮によって閉ざされているのだろう・・・どうなることやらだ。
弟は目を輝かせてて、こう問う。

「先週のねこにゃんで『ねこにゃんロボの釘には御利益がある』って町長さんが言ってたよね?
『ねこにゃんはこの町を見守ってくれてる』とか。って事はその釘があればねこにゃんに会えるって事かなあ?」

以外にも弟の質問は可愛らしいものであった。
ふと姉を見ると、汗ダグダグで少し青ざめていたその顔が、みるみるといやらしい笑みへと変貌していた。
き、気持ち悪い・・・!!!!!!!
姉はいざ質問されるときになって、弟の質問に答えられるか不安になっていたのだろう。
しかし質問内容が以外にもメルヘンチックな内容だったから一気に余裕の笑みへと変わった・・こんなところか。
にしても先ほどの表情の変化は・・気持ち悪い・・。
そして姉はもう言いたい放題だった。

「そりゃあ会えるわよ!!そのねこにゃんロボの釘には正義をよせつける力があるのよ!
持ってるだけでねこにゃんの加護がある・・持ってるだけで幸運も呼び寄せちゃうんだから!!
釘があれば、悪者が現れたら必ず助けてくれる・・・そんなすばらし〜い釘なのよ!!
いやあ、お姉ちゃん物知りでしょ!?」

現実世界の質問ではないのをいい事に、もう嘘で塗り固められた発言をベラベラとし始める姉。
さすがにここまでくると呆れるものがある・・。
弟が嘘だと気づく、って発想はこの人にはないのか!?
しかし弟は全く嘘と気づいていないのか、より目を輝かせる。

「本当だね!?じゃあ、お姉ちゃんに道呈、見て見て〜!!」

弟はソソクサと部屋をでていく。
弟がしっかりと去ったのを確認した後、僕は姉の耳元にゴニョゴニョと先ほどの嘘について糾弾する。

「あ、姉貴なんであんな嘘つくのさ!!嘘だってばれたらどうするんだよ!!」

しかし姉は全然反省などしていない、悪気もなさそうな顔。

「ばれない、ばれない♪たぶんあの釘はねこにゃんでは先週の話にしか登場しない一回きりで捨てられるものよ。
現に、釘だって実物はテレビには登場しなかったじゃない。
あれは、釘の存在だけを視聴者に教えて、後は適当にうやむやにしちゃう魂胆よ。」

なんの根拠もなく口からでまかせをいう彼女にある意味敬意を払いたいよ・・。
まあ確かにあの釘は一回きりで終わりそうな気がしなくもないし・・・

「持ってきたよ〜!!!」

何かを持ってきたらしい弟、すぐに僕は姉から離れ、弟の持ってきたものを楽しみにしてる様子を演じて・・・





「ぶふうううううううううっっっ!!!!デカっ!!!!!」

同時だった、僕と姉がふきだしたのは。
弟が持っていたのは1M以上はあると思われる長さ、キンチョーリ○ッドぐらいの太さを兼ねそろえる巨大な釘だった。
しかも色は青なのか、黄なのか、赤なのかはっきりしない不気味な色・・・もはやこの世のものといえるかどうかも怪しい。

「これがねこにゃんロボの釘だよお!!これでねこにゃんに会えるね!!」

ニパッと微笑む弟、それに勝手にキュンときている姉、そして一番動揺しているのは僕・・。
こんな不気味な色をした釘・・確かにねこにゃんロボに使われてそうな気もしなくもない・・・いや有り得ない!!!
あくまでねこにゃんはテレビでの話じゃないか!!
これをねこにゃんロボの釘と認める事は、ねこにゃんの存在を認めるに同じ、つまり偽者だ!!!

「きょ、兇坊!!それが何でねこにゃんロボの釘と言い切れる!?」

弟を「それは偽者だ!」などといきなり言って傷つけないよう、遠まわしに、偽者ではないか?と問いかける事にした。
しかし弟は何一つ動揺の表情をみせない。
逆に余裕を感じさせた、・・・なんだ、この余裕は!!

「だってこれは町長さんから取ってきたやつだもん!!だから本物!!」

あ、そうか。町長さんが町民を代表して釘を買ったんだから町長さんが釘を持ってる・・・。

「ってうそおおおおお!!??」

いや、おかしいよ!!!狂ってるよ!!よ、よ、YOO!!
ねこにゃんが実在する!?いや、そんなはずはNOTHING!!
ち、ちょう、町長さんが恐らくなんかの記念で作っただけだろう!!そうに決まってる!!
それ以前に町長さんから取ってきた・・・どういう意味だ!!

「兇坊、町長さんから取ってきたって・・もらったんじゃなくて?」

弟を刺激しないように再びやんわりと聞く。
僕は体中の震えが止まらなかった、嫌な予感を体が感じている・・第六感とか!?
弟は少し悲しそうな顔をして
「町長さんとは最初は話し合って、なんとかして譲ってもらおうと思ったんだけどね・・・
町長さん断固拒否するって何度も言うからね・・・つ」

「はい!!もういいです!!!も〜ういいでーーーす!!!」

何か危険なことをいいだしそうになった、
それをすぐさま僕は阻止した!!
町長さんが大事にしていた釘を無理矢理持ち出すという暴挙にでた我が可愛い(?)弟。
そんな弟の危険な行動をさらに後押ししてしまったのが、もちろん嘘いいまくった姉だ。

「お姉ちゃん!!ねこにゃんにいつ会えるかな!?明日!?あさって!?というか今日!?」

この弟の一声に姉はとうとう事態の恐ろしさに気づいたようだ。
口をあんぐりとあけて目を見開く表情は、先ほどのニンマリとは違った意味で気持ち悪い・・。妖怪か!?
妖怪諸田子は目をあちこちにキョロキョロとうろつかせている、一体どんな言い訳をするつもりなのか・・?

「え〜と、あ、あれよ!!釘だけじゃあアレなのよ、アレ!!悪者がいないとダメよ!!
ねこにゃんだって忙しいわけだし・・・でも悪者が現れたら絶対に助けに現れてくれるわ!!」

ああ・・もうだいぶ無理がある言い訳じゃないか・・。
これじゃあ「持てば幸福に」の言い訳には全然ならないし・・。
でも・・なぜだろう・・もっと嫌な予感が・・・。
その嫌な予感の正体は弟の次の言葉によ〜く現れていた。

「じゃあ・・・僕の楽しみにしてた本を買ってこなかった道呈は悪者だから・・よし!!ねこにゃんが来る条件は整ったね!!」

僕は凍りついた、いや、まじで。
さらに状況を悪化させるのは、もちろ〜ん姉。

「そ、そうねえ・・・。確かにコイツは悪者だけど・・え〜と・・い、インパクトに欠けるわ!!
だから〜・・釘を道呈に刺しちゃうぐらいはしないと〜・・ダメじゃないかなあ・・?」

またわけの分からない・・いや、おかしいよ!!

「ちょっ、何勝手に僕を変な事に巻き込んでるのさ!!」

「だだだ大丈夫よ・・あの子だってそんな非情な事はしないはずよ!!あの子を信じて!!」

なんという事!!僕は弟を鬼としてしか見ていないのではないか!!
本を買わなかった、という負い目から弟を凶暴な奴としてしかみれなくなったのでは

「じゃあ道呈、僕の夢のために、ちょいと釘を一刺し♪」

「って僕の純粋な思考をしているときに何たることを・・ってそのいつのまにか右手に持っているソレはなんですかーー!!」

弟はいつから悪魔になったのか!?
弟の右手には巨大な大槌が握られていた、彼の身長よりも大きな大槌・・・怖すぎだあ!!

「これはこんな事があろうかと、この釘を打つにふさわしい金槌を特注したんだ!!これならこんな釘も楽々打てるね!!」

「打てるよ!!確かに打てるよ!!でも人道的な面から見るとなにかがおかしいよ!?つうか助けてよ姉貴!!」

釘と大槌をもって近づいてくる弟・・怖くて足すら動かない僕の望みは、こんな事態を招いた張本人といってもおかしくない姉だ。
せめてケジメはみせて欲しいよ!!頼む!!

「え、え〜と・・そうだ!!ねこにゃんには優先順位があるのよ!!こんなヘボ男なんて悪者データベースにのってもいないわ!!
だからねこにゃんが今倒そうとしてる敵を狙えば今日にでも来るわよ!!こんな童貞相手にしないで、もっといい悪者を狙わなきゃ!!」

余計話を変な方向に持っていく姉だけど、弟はそれに納得したのか、僕に背を向ける。
とりあえず僕は安心・・全身の力が抜け、僕フニャフニャ〜。。
しかしまだ終わっていない事は明らかだ。
姉の言い訳は決していい方向に物事を導かない・・。
次に弟がとる行動は予想できる・・。

「じゃあ今から悪者探しにいこう!!」

や、やっぱり・・・。
僕等はもちろん止めなければならない!!
こんな大槌と巨大な釘を持ち歩く少年が他の人に見られたら・・・もうたまったものではない!!
それにねこにゃんなど本当にいるはずがない、
姉の言うことが嘘だとばれたら・・僕等はもうひどいめにあうのは間違いない事・・
吸血鬼が杭を刺されるが如く、僕等の胸に巨大な釘が・・・

「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

つい絶叫、恐怖度は満タンです。
これだから命の大切さ、感覚が分からなくなってる最近の小学生ときたら!!
しかも恐怖に苛まれている僕を完全に無視する弟、もう行く気満々だよ・・。

「姉貴・・本当にどうしてくれるんだよ!!姉貴が事態をここまで悪化させたんでしょうが!?」

僕は怒りの矛先を姉につい向けるも、この人を責めてもなにも解決策などでるはずもない。
姉は目をまたキョロキョロとさせて、何を考え付いたかと思いきや、突然逆切れを。

「そんな事いってもどうしようもないじゃない!!あんたもついてきてよ!!私が不満ならとっとと兇ちゃんを止めなさいよ!!
あたしが不満なんでしょう!?あんたが止めろっつうのよ!!」

本当に僕の人生は災難ばかりだ・・・。





『釘DEねこにゃん〜暴走編〜彼らの事情』に続く
ネギ臭を放つ存在、これはmmoさんの作品のキャラですのでご承知をば。