0,事の発端〜VSカラス〜
時はエセ江戸時代、
秋の冷たい風が吹き、紅に染まった夕日が照っていた。
ここ日妻武士寺では決戦が始まろうとしていた。
「・・・・・なんでこんな事になったんだろう・・・・。」
そうつぶやく青年には大きな特徴があった。
肌が白めである事、服もまた白を基調としている事、それらの事以上に目立つ特徴は
頭に二つニョキッと生えてるツノだ。
そう、まるで鬼なのだ。ツノだけなら666とも言えるだろ、とのツッコミはもちろなしだ。
華奢で端麗な彼は、全身からものすごい負のオーラをにじみ出していた、つまり弱気。
「白様!!敵はもうすぐ来ますわ!!戦闘態勢をお願いしますわ!!!」
そんな彼に追い討ちをかけるかのように叫ぶのはこれまた美しい女性である。
青年とは対照的に黒色の着物を着こなし、腰まで届く長き黒髪などから、
何処となくお嬢様のような雰囲気をかもし出す。
青年はため息をつきながらも前を見る。
そう、全ては彼女の為なのだ、と決意を固くして・・・・・。
事の発端は数時間前の出来事なのだ。
親にものすごく大事に育てられたために色白でほっそりとした体を持つ彼、
白君は幼馴染である有力藩士のお嬢様である黒弧と、彼の自宅の庭で談笑をしていた。
二人は相思相愛であり、周囲からもそれはバレバレにも程があるぐらいと呆れられていた。
二人は目の前にあるカキの木を前になにやら話している。
・・・・・・・・が、どうやらとんでもない話らしい。
「白様、是非ともあのてっぺんの大きなカキを取ってくださいませ!」
「いや、無理だから!!私の体見てくださいよ!登れますか!?いや、登れない!!」
白君は反語を駆使してでも、自分が黒弧の要求に応じない事を強調した。
それもそのはずだ、誰が見ても彼のひ弱な体では登れるはずがないと。
だが黒弧はおかまいなしであった。
見方を変えれば、彼に偏見を持たずに接してるとも取れるが、
彼女が自己中心的なだけというのが最も有力な説だ。
だが結局はいつも黒弧のおねだりに彼はなびいてしまう。
結婚したら将来が見て取れそうだが、これも彼女への愛情のためなのだ。
「あー、神様、居てくださるなら私を無事に・・・・・・神様・・・」
祈りをブツブツいいながら上に少しずつ上っていく白君、そこに黒弧が
「白様〜!御成敗式目を制定したの誰でしたっけ〜?」
と祈り続けてる彼に言うものだから、白君は集中できたものではない。
「お、お願いだから今は話しかけ・・・・」
その時だった。
「カーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!」
一匹のカラスが猛スピードでカキの木へと突っ込み、
そして黒弧が狙ってたカキを猛スピードで奪い去ったのだ。
その現れてから逃げるまでのスピードは銃弾の速度と表現してもいいレベルなのだ。
無論、そんな衝撃で突っ込まれたら木は揺れる→白君転落
ドサァァァァァァァァッ
「ああ!!私のカキがあああ!!!あのカラス達・・・・・白様、退治しますわよ!!!」
「ええと・・・とりあえず私を心配して欲しいなあとか、何で退治とかいう話になるのかなあとか何ツッコメばいいのかわかんないやあ・・・・。」
黒の弧のブラックな性格、言い換えると腹黒い性格、に 置いてけぼりな白君は
激しく地面にたたきつけられて何かがポキッといっていた。
立ち上がれるはずもない。黒弧はそんな事知ったこっちゃない。
そして白君が自力で立ち上がろうとしてもさっきから地べたにくっつき気味な彼に
イライラしたのか、
「まあ白様だらしない!!もういいですわ!!鬼を召喚するとしますわ!!!」
と、これまた突拍子もない話をする。
白君はさすがにツッコム気力もおきず、その黒弧の奇怪の一部始終を見ていた。
頭を振り回して、長い髪ををグチャグチャにしながら何度も地面に座りながら
手を上下に動かす。
「ガンダ〜ラ、ガンダ〜ラ、愛の国〜、ガン〇〜ラ〜。。。。」
「ってちょっと待ったーーーーーーー!!!最後だけ伏字にしても何の意味もないから!!!
それはマズイから・・っていたぁぁぁあああああああぁぁあぁぁぁあああああああ!!!!」
そして彼女についツッコンでしまった白君、余計骨にきました。
しかも黒の弧は彼の様態を無視して儀式続行。
「いざ!!この地に舞い降りよ!!!鬼、君に決めたーーーーー!!!」
もうパクリし放題、かけ放題な黒弧は、とうとう儀式を完成させた。
天から降り注ぐ光、それは白君を照らす。
白君はボーっとその眩い光に見惚れていたが、事の重大さに気づくのは遅かった。
「ってなんで私を照らしてるの!?ちょっ、待っ・・・・・・!!!!!」
「鬼の憑依形態、それは人間の力を超えた力ですわ。これでひ弱なあなたでも、あのカラス達に勝てますわ!!」
黒弧の説明に驚いた瞬間だった、降り注ぐ光と共に、なにか青白いものが自分の中に入っていくのが・・・・・・。光が止んだとき、彼は確信していた。
頭に感じる違和感、それに直接触れてみる・・・・・・ツノ・・・・・・・。
「まあ、白様・・・とても素敵ですわ・・・。」
「いや、褒められてもよくないってば!!!なんでカラス達と戦うって話になってるのさ!!!」
彼はあえてここで、自分に無理矢理鬼を憑依させたことにはふれなかった。
問題は一つ一つ解決したいからなのは言うまでもない。
だが、その言葉を聞いた黒弧からは突然目に涙を浮かべた。
白君も突然の事に動揺の表情が隠せなった。
「私はただ・・・白様を蹴落としたカラスが許せなかっただけですのに・・・」
白君ははっとした、彼女は自分の為にカラスと戦おうとしてくれていたのか。
彼は黒弧の両肩に手を触れ、彼女の顔を見る。
涙で濡れた顔もまた一興・・・・ではなくて、
「すまない・・・・、黒姫、今からカラス退治へと向かおう。だから泣かないでおくれ。」
優しくいった彼の言葉に黒弧は
「当たり前ですわ!!やつらの本拠地へGOですわよ!!!!」
・・・・白君は今更ながら、先ほどの言葉を訂正したくなった。
そして現在に至る。
白君は対カラス用武器、白鎌と呼ばれる、白き鎌を手にし、敵の襲来を待ち伏せた。
彼の頭の中は今は黒弧の事で一杯だった。
自分の事を思ってくれているが為の黒弧の行為。
彼はそれを深く実感していた、単なる都合のいいように解釈してるだけにもみえるが。
そして音が聞こえた、鳴き声である!!
『カーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!』
100匹はいるであろうカラスの大群が一気に白君へ向かってきたのだ。
「ちょ、ちょっと〜!!こんなにいるとか聞いてないから!!!!」
ものすごい大量のカラスの攻撃は激しかった。
四方八方に飛び交うカラスを取り押さえる事も出来ず、鎌を振る機会さえ与えられない。
鬼に憑依されてるせいか、カラスの突進攻撃にもなんとか耐えることはできた。
「白様をいじめないで下さい!!!えい!!!」
だがそんな時、黒の弧は近くにあった石を何個もカラスに投げつける。
最近のカラスの防御力は高いために、ほとんど効いてもなかった
そして、とうとうカラスは標的を白君から黒弧へと向ける。
「わ、私に向かって来るんですのお!!???」
どうやら彼女は援護射撃気分だったらしい。
自分が巻き込まれるなど思ってもいなかっただろう。
黒弧は白君に助けを求めなかった。
そう、今彼女にはいつもどおり彼に頼る余裕が全くないのだ 。
その時だった、白君の中の何かが弾けた。
自分をどんなにヒドク扱ったとしても、
自分勝手な性格だったとしても、
それでも彼にとって彼女はかけがえのない存在であった。
カキの木から落ちる要因をそもそも作ったのが彼女だったとしても、
勝手に話を進めて自分を鬼に憑依させたりなどしても、
それがなんだというのだ。
白の君にとってはそれはある想いの前では単なる些細な事でしかない。
カノジョガスキダ
「黒姫に手をだすなーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!!!!!!」
ドォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ
今まで一回もだした事がない、いや、だせるとは思えなかった大きな叫びとともに、
彼は鎌を一気に横に振り切った。
そこから発せられた鎌の斬撃は恐ろしいものだった。
とてつもなく巨大な範囲へと広がっていき、黒弧を攻め立てたカラス達を皆葬ったのだ。
カラス専用武器のため、周囲の建物も、黒弧も、何一つ傷はない。
黒弧は放心したかのように口をあんぐりと空けていた。
そんな彼女を見て白君は胸をなでおろすような気分だった。
「黒姫・・・これで終わったね・・・。」
彼の言葉が導火線となったのか、黒弧は彼を見るとすぐに泣き出し、
そして白君の元に駆け寄った。
「し、白様〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「黒姫・・・・。」
戦いの始まり、経過がどうであったにしろ、
最後には二人はこうやって抱き合い・・・・
ポキっ
「・・・・・・あ、白様・・・憑依・・・解けて・・・」
「そういえば憑依のおかげでさっき骨折してても立ってたんだっけ・・・?」
ドサッ
「いやーーーーーーーー!!!!白様、しっかりいいーーーーーー!!!」
「折角いい終わり方できると・・・って痛ーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
END・・・
いや、つづく。
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